南北両極域の南極氷床とグリーンランド氷床を載せる大陸は、長い地球史を通じて形成された基盤岩からなる。それらは氷床縁辺部に露岩として顔を出している。露岩域には氷床の消長を記録する地形や堆積物が存在する。両極域の大陸では氷床に覆われていることによる特有の地球物理学的現象が観測される。南極氷床からは太陽系創世期の情報を提供する隕石が採集される。このような事象・現象を研究対象として、宇宙史や、地球の誕生から今日までの地殻進化変動史、氷床の消長に伴う地殻変動や海面変動という環境変動を解明すべく研究を進めている。

昭和基地では、各種の測地・固体地球物理観測が、長期継続して実施されている。地震、重力、地磁気、潮位などで、30年にわたるものもある。近年は地電流、GPS 、VLBI 観測なども行われている。どの項目をとっても昭和基地は南半球高緯度の観測空白域を埋める貴重な観測点である。特筆すべきは昭和基地の良好な立地条件で、堆積層がなく安定した岩盤上にあるので、宇宙技術を用いた高精度測地観測により、地球環境変動に起因する微小な位置変動、重力変動を検出することができる。これらの精密観測はまた、航空機、船、衛星観測により得られる広域固体地球物理データの地上検証データとして活用される。



第1次南極観測隊(1957年~)での犬ぞりによる野外地質調査にはじまって、東南極ドロンイングモードランドからエンダビーランドにかけての広大な地域に分布する露岩域の基盤地質調査をおこなってきた。この地域には、約5億年前のゴンドワナ超大陸の中核をなす地質体から約25~40億年前にさかのぼる太古の地塊まで、長大な時間軸をカバーする地質岩体が分布している。また、ゴンドワナ超大陸を構成していた南アフリカ、マダガスカル、インド、スリランカほか関連する地域の調査も国際的な学術連携の元で精力的におこなっている。地球の進化史や地殻深部での物理化学過程の理解と解明を目指して、国内外の大学・研究機関に所属する共同研究者との密接な連携のもと、極地研究所に設置されている二次イオン質量分析計(SHRIMP)などを駆使して、岩石学・地球化学・地質年代学・構造地質学など様々なテーマに関わる研究を精力的にすすめている。

隕石サブグループでは隕石の鉱物学的、岩石学的研究を行っている。これまでに南極観測隊が採集した隕石は約17400個に及ぶが、これらを中心に、比較のために非南極産の隕石の研究も行っている。隕石は細かく分類すると約60種類に分類されるが、南極隕石はそのほとんどを含んでいる。それらの隕石種についてその特徴にあった研究を進めている。

南極氷床および周辺海域で過去に起きた環境変動を詳細に復元することで、地球環境変動メカニズムを理解し、将来の気候変動予測に貢献することを目指しています。 そこで、我々のグループでは極限環境での野外調査、音波を用いた海底探査、実験室での精密な化学分析、そして計算機を用いたシミュレーションなど、多角的なアプローチによって日々研究をすすめています。

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